とれないボールがあるものか

昨日「キャッチャー」に騙されたと書いて、あの時の記憶が蘇ってきたのです。


この映画メチャクチャ期待してたんですよ。
今だったら「どうせアルバトロスだろ」と思いますが、当時はまだよく分かってなかったから。
でもね、事前の情報は凄かったんですよ。
紹介記事には、キャッチャーが試合中にバンバン殺して大活躍!とありましたもん。
それだけならまだしも、当時アルバトロス在籍だった叶井俊太郎のコメントが期待を煽りまくるんですよ。

野球の試合中にキャッチャーが相手チームの選手を殺しまくる。それだけの映画。マジマジ、バットを口ん中に突っ込んで殺したりするの。殺人の動機?ホームベースを守るため。本当にホームで刺しちゃうんだよ。マジ凄いよ。

動機はホームベースを守るため!
これ期待すんなと言う方が無理ですよ。
でも即座に疑問に思いましたよ。それ話が成立すんの?
試合中に死者が出たら即中止でしょ?
まさか舞台が未来とかで、殺人もありな「ローラーボール」もどきなのか?
それじゃつまらんよ。
しかしこれメキシコ産だった。当時のメキシコに対する認識と言えばサボテン・テキーラ・覆面レスラーの3つのみ。
なんの、あの国ならありうる!と思ってしまった。メキシコに幻想を持っていたのです。
だから気が付かなかったんですよ。叶井俊太郎のコメントに続きがあったことに。


さて、レンタルが始まり、速攻で借りました。マッハで帰宅し鑑賞開始!
そして1時間後(これ1時間しかないんですよ)。
脱力したっ....!なんじゃこりゃあ...!!
舞台は球場です。ただし試合なんざとっくに終わっていて、いるのは残業してる人とラブホ代わりにしてる人。全部で5人くらい。
じゃあ試合中ってのは?試合、やってましたよ。ただし殺人鬼の脳内だけで
要するに、ホッケーマスクの代わりにキャッチャーマスク被った「13日の金曜日」。それもデッドコピーもいいところ。
たしかにウソはついてない。しかしこれは詐欺師の「ウソはついてない」じゃねえか!


怒りに燃えながら、叶井俊太郎のコメントを読み返しました。そしたら、先の引用に続きがあったんですね。

この映画を売る自信?全っ然ないけどね。やるしかないでしょう!

さらに同時期発売だった「ヘルマスター」と併せてのコメントがコレ。

劇場公開?両方とも無理でしょう!いや、マジ(笑)

なんと、遠まわしだが当事者自ら「この映画はクズです」と言ってるのですよ。
ある意味フェアな発言。「ムトゥ」にあった台詞が脳裏をよぎりましたね。
「騙すより、騙される方が罪深い...」


ああ、東宝東和イズム
身に染みて理解しました。「サランドラ」、ジョギリショックを観た人がどういう思いをしたのかを。
苦い経験ですが、ちょっとだけ大人になった気分がしました。
というワケで「キャッチャー」はオレの精神的父親の1人となったのです。