タイランドでタイラント

*オレはベッタベタの秘宝読者なので、ジャーではなくチャーと表記します。


マッハ!弐』観ましたよ!
ムエタイをはじめとする武術がテーマなのはこれまでと同じだが、今回は趣が変わって時代劇。
16世紀頃のアユタヤ王朝というのは、ヨーロッパや中国、アラブに日本と様々な国と交流があり、毎日がオリンピックみたいな状況だったそうであります。
そうなれば武術もまた入り混じるわけで、今回チャーは様々な武術を披露することになりました。
ムエタイはもちろん、中国拳法にレスリング(あれってサンボ?)に剣術からついには忍法と盛り沢山。
そして酔拳の登場ですよ。
もう武道家を描写するに酔拳は避れられないんですよ。ジェット・リーだってリンチェイ時代に酔拳やったじゃないですか。
チャーの酔拳は大変獰猛なシロモノで、 何仙姑の形で「おすぎとピーコ」とのたまう暢気さは微塵もないですけどね。
さらに三節棍まで登場する。
三節棍といえば『少林寺三十六房』。この映画、話自体がかなり三十六房なんですよ。
親を殺された主人公が、武術集団に徹底的にしこまれ、敵である将軍に挑むって三十六房でしょ。
三十六房と違って修行の描写はないし、チャー演じるティエンはサンダと違い和尚にはなれない男ですがね。
もうホントイロイロ出してくんですよ。それが1人の男として合体してるんですよ。
これスゲエな、なんなんだよ!と思ってたら分かったんですよ。この映画、暴君怪獣タイラントなんですよ。

タイラントをご存知ない方のために軽く説明すると、こいつは怪獣・星人の怨霊が合体したものでして、それら怪獣の長所だけを寄せ集めた姿をしてるんですね。
実力も凄まじく、冥王星から地球にやってくる間に、ゾフィーからエースまでのウルトラ兄弟を全て撃破してるんですよ。
このタイラントが登場する『ウルトラマンタロウ』、オレはリアルタイムではなく再放送で観たんですね。
事前に怪獣百科でタイラントのことは知ってたんで、いざ放送を観る時はついに観れるぞと大いに期待してたんですよ。
しかし、実際にタイラントが登場する回「ウルトラ兄弟を超えてゆけ!」を観てみると、つまらなくはないけど、思ってたほどじゃなかったんですよ。
原因はハッキリしております。タイラントがあまりにもアッサリ倒されちゃうんですよ。ハイおしまいねって感じで。
この味気なさは語り草になっており、wikipediaにもわざわざ記載されているほど。皆ガッカリしたんだねえ。
良い意味でタイラントを連想させてくれた『マッハ!弐』ですが、悪い意味でもタイラントなんだよねえ。


ラスト、謎(一目で正体分かるけど)の軍団の襲撃を受けるチャー。
ここからホントに怒涛の大決戦が始まるんですが、これほんっとスゴイんですよ。
ドニー・イェンの『ドラゴン危機一髪97』を思い出す連続バトルに、おれの骨髄液は過熱蒸気かってくらいに沸騰。
ウギャー!!これどうしろってんだよ!と思ってたら、いきなり終わっちゃうんだよ!全然納得できん形で!
鑑賞後に知ったんですが、撮影中にトラブルが連発し、未完成状態で資金がつきたのを、どうにか形にして公開にこぎつけたのがこの映画だそうで。
そうだったのか...とも思うが、それにしたって他にやりようあったろうに。例えば『怒りの鉄拳』的な形とか。
でも希望はある。一回こっきりで終わったタイラントと違い、チャーはすでに続編の準備にかかってるとか。
ああ、それ早く観たい!ラストこそアレだったが、それ以外は凄まじかったんだから。
結果どうだったかといえば「ああ面白かった!」であります。もう1回観に行ってもいいな。