強くてデカイのじゃなきゃヤダ

アバター』を観たんです。
鑑賞環境は3Dではあるものの、IMAXデジタルなんて近所にはないのでエクスパンディ。
オレは普段から眼鏡をかけてるため、上映中はずっと重ね眼鏡。おかげで鼻が痛かった。
席は前の方がいいというのは知ってたけど、正面だが一番後ろか、前の方だが左右端のどちらかしか空いておらず、結果スクリーン正面だが最後部列となった。
そういったものが影響したのかは分からんけど、3Dの良さは感じれなかったんですよ。。
奥行きがあるというより、後ろの方がボヤけてるだけにしか見えなかったし、画面も暗く見える。
3Dによる恩恵が最大の旨味の作品でこの状況はキツイ。正直、退屈した時間もありましたよ。


ただ、さすがに天下のジェームズ・キャメロン作品なんで、上映方式だけってこともなかったんですがね。
強靭なアバター(生身の代理)と脆弱な生身の対比が、何度も描写されており本作の旨味成分となっております。
ナヴィ・アバターの高い身体能力をタップリと見せたつけた後、ジェイクのやせ細った足を映す場面は唸りましたわい。
そういった描写はジェイク以外の人物にもなされており、面白かったのがクオリッチ大佐の描写。
ベンチプレスで汗かいてたり、有毒地域でマスクも着けずに大暴れしたりと頑強な肉体をアピール。
でも、いざ戦う時はパワード・スーツを装着してんですよ。相手は生身なのに。
このパワード・スーツって、要は旧式のアバターですよ。遠隔操作ができず、外見もゴツくて馬鹿でかいアバター
アバターがエアコンなら、パワード・スーツはダルマストーブってくらいの差はあれど、やってること自体は変わらない。
どころか大佐はナヴィとの交流は下らねえが、アバター計画には興奮するなんて言ってましたね。
ジェイクと対照的な行動を取る大佐だが、作り物に頼りきっている点では変わらないんですよ。皮肉よねえ。
この種の、作家が知恵を働かせたから出てくる風味もちゃんとありましたわい。


とはいえ、やっぱ映像重視なんで話はベタ。類型的。予測を1ミリも裏切らないので安心感たっぷり。
類型的ゆえに誰もが何かに例えて語るんですが、この語りに個性や世代が出てくるのが面白い。
目に付くのは『ダンス・ウィズ・ウルブス』との比較。たしかに白人酋長ものですわな。
この種の物言いは普段ゲームをやらない世代が多い。一方ゲーム世代はといえばオンラインRPGと比較する。
アバターによるパンドラの生活って『ファイナル・ファンタジー11』や『モンスターハンター』と同じじゃねえか、と。
マトリックス』等の先行作よりも、一般に流通しているゲームにより近づいているのが本作だと。
しっくりくる話ですよ。
だけどオレはオンラインRPGやらんから分からない。分からん以上、説得力は感じるけどオレの感想じゃないんですよ。
オレにはどう見えば『闘将ダイモス』と『装甲騎兵ボトムズ』のあわせダシで煮込んだ『ミディアン』ですよ。

闘将ダイモス DVD-BOX【初回生産限定】

闘将ダイモス DVD-BOX【初回生産限定】

ミディアン [DVD]

ミディアン [DVD]


そしてにじみ出てくるのが、ジェームズ・キャメロン先生の極太リビドー「強い女大好き!」であります。
この手の作家性云々って話は、こじ付けじみた話であることも多いんですが、ジム先生の場合は確実。見誤りようがない。
この「強い女」欲求がどんどん強くなり、もはや現実の女では満たせなくなった挙句に登場したのがネイティリですよ。
オレには聞こえるんですよ。ジムの心の声が。
「強い強い言ったって、現実の女じゃ精々身長2mじゃん!俺は5mは欲しいんだよ!」
これが間違いないことは、ラストのジャイアント・ダッコの場面で明らかですよ。オレあの場面で絶句したよ。
そう思うと、これはゲーム映画なのかもしれんですね。『モンスターハンター」とかでなく『アイドルマスター』だけど。