豪!ジャパニメーションみたいに

『X-MEN ファースト・ジェネレーション』を観ました。


実は本作に全く期待してなかったんです。最初に公開されたビジュアルにガッカリしたんです。なんて貧相なのかと。
このショーパブ臭い衣装の白人ネーチャンは、まさかエマ・フロストか?あれってゴージャスかつ冷酷なキャラじゃなかったっけ?
今更レベッカ・ローミンとは言わんが、このミスティークは無理があるだろ。素顔はオカメじゃねえか。ブリジット・ジョーンズの出る幕はねえぜ!
まあジェームズ・マカヴォイ演じるヤング・エグゼビアは悪くないと思う。死ぬほど下らないトンチ勝負挑んできそうな、小僧妖怪面してるから。でも『X-MEN』において、男優なんざどうでもイイことだよ。女怪人達がギャーギャー暴れて、その横で男達はヨタヨタしてるかオロオロしてるってのがシリーズの基本。つまり女性上位。もしくは女体盛り。だからエグゼビア云々はプラスにならんよ。
こんな感じでブーブー言ってました。レンタルでなら観るかもねと。


しかしあまりの評判の良さに、公式サイトを見てみれば「海中から潜水艦を引きずり出すマグニートー」という豪快な画が。
アレ?と思い劇場に向かったら、いやあ大満足。ああ面白かった!ウルヴァリン主役の外伝を含めれば5作となるシリーズ中、一番面白かったです。


今回は皆の若い頃ってことで、技は未熟もイイところ。かの磁界王マグニートーですら、やることったらジーサンの銀歯引っこ抜くとかでセコイ話なんですよ。
こんなレベルじゃリングに上がるなんて到底ムリ…ならば特訓だ!
オレは今年38歳。『酔拳』『少林寺三十六房』で育った世代ですから、特訓には弱いんですよ。特訓シーンにより、そのキャラを深く描写することになるワケです。また要は練習ですから、失敗も許される。それをギャグにすることもできる。本作にはバンシーという、ホントにボンクラなキャラな奴がいるんですが、ミスもありというゆるい雰囲気のおかげで、彼にも居場所がある。これは過去のシリーズにはない、本作の特色ですよ。


未熟というのは精神面でもそうなワケで、まあ皆子供なんですよ。
あだ名の付け合いしたり、はしゃぎ過ぎたり。そんで叱られてシュンとしたり。ガキまる出し。
この辺りが描写されると、何故このオカメがミスティークに?という疑問も消えてくるんですね。なるほどそういうことだったかと。今回のミスティークは、些細なことに一喜一憂する子供。後の冷酷なテロリストではない。予告にもある場面ですが、思わず口元を覆って息を呑むなんて可愛らしいこともする。こういうキャラだと前シリーズ的な攻撃的な風貌じゃおかしくなってしまう。だからジェニファー・ローレンスだったか。納得しましたね。


本作を観て今更気がついたんですが『X-MEN』って『デビルマン』みたいな話だったんですね。ホントに今更って話なんですが。
プロフェッサーXとマグニートー。互いに信頼・尊敬し合いながらも、一方は人類との共存を望み、一方は抹殺を誓うと、思想の違いから対立。互いに率いるのは異能の集団。まるで不動明飛鳥涼じゃないですか。
ただオレが『デビルマン』との類似に思い至ったのは、話の構造からではなく、ビジュアルからです。エンジェル・サルバドーレという昆虫の羽根生やしたネーチャンがいるんです。柳下毅一郎はあれをアダム・ウォーレン風と言ってました。オレは永井豪みたいだと思いましたね。『デビルマン』つうよりは『デビルマンレディー』な感じですが。また先のバンシーは飛行能力を持ってるんですが、これ口から吐く超音波で推進力を得るんです。これが口からワッカを吐くって画なんですよ。一昔前ならポワワワワと擬音つけられそうな。この描写は『デビルマン」のデーモン、もしくは『ゲッターロボ』のメカザウルスっぽいんですよ。ここから『デビルマン』を連想したわけです。


全く期待していなかった分、余計に楽しめました。長くなるから止めるけど、今回は悪役も素晴らしかった。特にアゼザルの墜落処刑の術はシンプルかつ凶悪で最高だった。今夜は素敵な気分で眠れそう。