妖蛆の秘密
世の中にはトラペゾヘドロンとか言うと、すぐにイアイア言ってしまう人々がいます。
フングルイとかウガナグルとかわけの分からない奇声を挙げてみたり。
で、実際に声に出してみると、意外とトンマな響きだったりするのに愕然とするのです。
ま、オレのことなんですがね。
そんなアタシが昨日読んだのがコレ。
- 作者: 殊能将之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/01
- メディア: 文庫
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「美濃牛」の方はイロイロと有名な作品をネタにしてるそうで、そこら辺が好きな人には好評らしい。
しかしオレこの辺は分からんかったのですね。なので全てを味わうことはできなかった。
しかし今回の「黒い仏」は違う。
もう完全にこっち側のネタばっかなんで、我が家みたいなもんですよ。
「ホテル・ギルマン」とか「顔のない仏」とか「蟲がどうたらいう経典」とか。
上鳥なんて苗字の人も出てきます。うえとり、つまりウェイトリイですよ。
イロイロ遊んどるなあと思ってたのですが、中盤で早くも出ちゃうんですよ。ホントにそういう連中が。
普通のミステリーものだと思ってたところに、七本足の蜘蛛みたいな怪物とか出るんですよ。
いきなりそんなこと言われても困る、第一これでちゃんとまとまるのか?この本薄いよ?
読み終えて安心しました。まとまってる。つうか大笑いした。
これ実はミステリーとか伝奇とかのパロディだったんですね。
それぞれのジャンルで重々しく語られていることを茶化してる。辻褄あってるけど、空回りだよーんと。
いや、空回りじゃないか。空回りだったけんだけど、ですね。
よく出来た「物語」だ。サイコー。なら、ホントにそうしちゃえ...と思い、実行できちゃうのですね。
中盤から登場して、不安にさせてくれたイアイアな怪物達は、このギャグをやるために出てきたのか。
念のために言っておくと、ちゃんと「ミステリー」もやってます。アリバイ崩しとか。それとフングルイな怪物達のギャップが可笑しかった。
なんかね「パタリロ!」にありそうな話でした。
まてよ、パロディと言ったけど、そうじゃないかも。
これを「這いよる混沌」サマの物語と考えれば、真正面からのアプローチかも。
トリックスターが支配する世界に、探偵がゲスト出演しましたってことなのかな?