死者の島

意外な接点

ランド・オブ・ザ・デッド」を観たんです。

しかしまあ、ゾンビ軍団のリーダーである黒人のオッサン(通称ビッグ・ダディ)の人間臭いこと。
肌にツヤがあるし、仕事も確か。とても死後とは思えぬお達者ぶりに、彼がゾンビだってことを忘れました。
他のゾンビもキャラが立ってますね。
黒人オッサンに常に従う2人のゾンビのうち、肉屋ゾンビは、最初はいかにも貧弱な感じですが最後は見事な包丁さばきで魅せてくれました。
もう一人の女子ソフトボール部ゾンビ、最初は上半身しか写らないのでチアリーダーかと思ってました。
チアリーダーゾンビ...それじゃ「バタリアン」とかそっち方面じゃないかと思ったのですが、違ったので良かったのやら残念なのやら。
彼女がバットで人間を撲殺した時、やっぱ「バタリアン」方面じゃねえかとも思いましたが。
あとは、一目で誰か分かってしまうトム・サビーニ先生ですね。
素早いナタさばきでバッサバッサと切り刻む。カメラ目線で見得まできるからたまらない。
ホント目立ちたがりだよな、このオッサン。益々のご活躍を期待します。


で、この映画を観ている間、ズッと何かに似てると思ってました。
1時間くらい経って気付いたんです。これは「必殺」であると。
先に書いたように、ゾンビ達は生前の職業やらに関した技能と道具を武器に戦います。
それらは、武器にもなるが日常生活の中にあるものばかりです。
これまるっきり「必殺」じゃないですか。仕事人やら仕掛人も、職業柄持っていて当然の、日常生活の枠内にあるモノを武器に殺すのですから。
また、ゾンビの基本戦術はソロリソロリと近づいて、いきなりガブリの闇討ちスタイル。これ中村主水じゃん。
キリングスタイルだけではなく、登場人物の関係もまた「必殺」です。
「必殺」の基本パターンは、悪い権力者とそれに踏みにじられる市井の人々、そして踏みにじられた人々から託された怨みを晴らす殺し屋達。
オイオイ、そのまんまこの映画じゃん。
ゾンビ以外では、チョロなんて、「必殺」に出ても少しも違和感のないキャラですよ。
デニス・ホッパー市長が出てる場面は、「必殺」で悪人が密談交わしてる場面に流れる音楽がピッタリです。


ゾンビ、「必殺」、バトルトラック、地下闘技場、そしておまけに花火大会。
フルコースですよ。ロメロ御大のサービス精神に、金は払ってるのに奢ってもらった気分。
ああ、面白かった。