ウルフ千葉

千葉真一が俳優を引退するそうです。
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20070708-OHT1T00048.htm
もう70近い人なんで、「体力面を考えると、そろそろ潮時だなあ」となるのは自然なことでしょう。
千葉真一は、もはや伝説となっている映画を複数ものにしていますが、田舎だとそれらを観れないんですよ。
「直撃地獄拳 大逆転」はDVD化される(楽しみだなあ!)ので観れるけど、「ボディーガード牙」とかはまず無理。
そんななかで、特に観たいけどまず無理な作品が平井和正の小説、アダルト・ウルフガイ・シリーズを映画化した「ウルフガイ 燃えろ狼男」。
犬神明サニー千葉。分からんでもないが、やっぱり「それは違う!」と異議申し立てしたくなるキャスティング。
この映画、「虎よ!虎よ!」と「狼よ、故郷を見よ」の2つの話をベースにしてるらしい。
あと「人狼、暁に死す」もチョット含まれているようなんです。
しかし、よりによってこの2作か。ウルフガイってのは基本的に暗い話なんですが、これらは特に救いがない。
「虎よ!虎よ」はヒロインが置かれる状況が悲惨極まりない。
歌手志望だったんだけど、輪姦され、すっかり心を病んでしまい、そのまま放りだされてしまう。
その上、食っていくために売春をしてるうちに梅毒に感染。治療なんてしてないので、完全に手遅れ。
彼女は自覚はないが超能力者で、怒りを虎の形に具現化することができる。自覚なきまま念力虎を出現させ、殺戮を重ねる。
そんな、ある意味岩本虎眼なヒロインを、犬神明はどうにか救おうとするが、結局救いきれず彼女は自滅。
無力感に苛まれる犬神明。でも、虎は相変わらず出現し殺戮を続ける。なぜなら...
とにかく暗い。同じ平井和正原作の「スパイダーマン」にも流用された話なんで、そっちで知ってる人も多いと思います。
「狼よ、故郷を見よ」は基本的には「ランボー」みたいな活劇なんですが、自らのルーツにも受け入れられぬ犬神明の孤独や、妻にしたいと思った女が、身代わりになって死んじゃったりとやっぱり暗い。
また、アダルト・ウルフガイは1人称小説なんで、主人公の内面がストレートに書かれる為暗さは加速しているんですよ。
場面によってはナイーブって言葉を使っても良いくらい。
そこに千葉ちゃん。常に汗ダラダラな感じのコッテリ俳優。
とどめに製作は東映。三角マーク風味でギットギト。
まあ、千葉真一も役者なんだから色んな役やるだろうし、東映だっていろんな映画作ってますよ。
でも、これは暴挙と言うべき。「私は貝になりたい」を横山やすし主演でやるようなもの。
案の定、怪作になってるみたいですね。観た人達の感想はどれも同じことを言っている。
http://www.sakai.zaq.ne.jp/thomas_cine-psy/thomas_cine-psy_100_wolfguy.htm
http://home.f05.itscom.net/kota2/jmov/1999_03/990306.html
いやー観たいなあ。
千葉真一引退記念として、田舎のオレにも観られる形で世にだしてもらえないものですかね。