21年ぶりの納得

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』を観たんです。
なんというか、ジイサンの思い出話みたいな映画でしたね。
「前にアレやったよな」「あん時はこうだったよな」「で、あの時の女はどうなったの?」
「そういやガキの頃はアレ信じてビビってたよ」「でも、イロイロ読んだしカードも集めたね」
こういう会話があって、それをインディ・フレームにそのまま詰めて送り出してきた、そんな感じ。
過去のシリーズから、チョイチョイとネタを引っ張り出してはちりばめると、ファンサービスに抜かりなし。
悪趣味ジョークも健在だったし、「吹かれる前に吹く!」てのは「鞭VS刀剣」の変種でしょ。
こういった要素が、シリーズを観続けてきたオレとしてはいちいち楽しいんです。


でも逆に言えば、見たことあるもんばっか出てくるってことなんですよ。想定外のことは全く起こらない。
首脳陣であるルーカスとスピルバーグが、自分の引き出しの中にあるもんだけで作ったって感じなんですよ。
そのせいか、小さくまとまってしまってるように見えるんですよ。扱ってるネタはデカイのに。
ホントにデカイんですよ。インディー・ジョーンズの作品世界を、根っこから捉え直さなきゃイカンほどに。
だってラストのアレって、今回の制作陣に間接的に係わる某作品じゃん。
公開直後でしかもオチだからこれ以上は言わんけど、誰もが知ってるビックリ映画ですよ。
ビジュアルは制作陣に直接関係する某作品ですがね。
また作品とは別のところで「ああ、またか」と思ってしまったものがあるんです。クリスタル・スカルですよ。
クリスタル・スカルと言うと変わって聞こえるけど、水晶ドクロと言い換えた途端におなじみのものになりますよ。
その上「ナスカの地上絵」とかも早々に出てくるし。
オレは山に向かって「マーヤー、ナースカー」と叫ぶと「ウチュージーン」とこだまが返ってる人間ですからね。
そんなオレにとって、中盤以降のストーリーは全て予想通り。意外性なし。


そんなこんなで、結果どう思ったかというと、大変微笑ましい映画でした。
インディ・ジョーンズ・シリーズにこんな言葉を使うなんて、本来はありえないことなのに。
そりゃ『最後の聖戦』だってその気は大いにあったけど、ここまでじゃなかったですよ。
ただ、虚をつかれた要素もあって、それはケイト・ブランシェット演じる女軍人イリーナ・スパルコ。
ブランシェットと言えば女王様女優ですが、今回は別種の女王様。その手があったか。
今回の作品で、ブランシェットをマイ・ドミナ・リストに加えた人もけっこういると思いますよ。
でもあの人40近いじゃん...と言われるかもしれんですが、いやいや、ドミナってのは年齢重ねてないと。
若くても女主人な人(栗山千明とか加藤夏希とか)もいるけど、そりゃ例外ですから。


あと、今回の作品で、全く別の作品について納得したことあったんです。
87年に公開された『竹取物語』で沢口靖子が人間に見えなかったという問題があるじゃないですか。
ありゃ月面人なんだから人間離れしててイイんだよ!と言われても納得はできなかったんですよ。
でも今回、「ああ、靖子の中にはクリスタル・スカルが入ってたんだね」と納得も得心もしました。
ありがとうインディー。おかげで21年ぶりに市川崑と和解できたよ。