アフター・マトリックス

「V・フォー・ベンデッタ」の話を聞き、久々にウォシャウスキー兄弟の名を聞きました。
マトリックス」もチョッと懐かしい名前になりましたね。
懐かしいって、3作目が公開されたのはつい最近じゃねえかと言われそうですが、2,3作目はどうでもイイからね。無いようなもんです。
1作目から約7年経ち、もう懐かしいシロモノなんです。


1作目公開当時、ご多分に漏れず大喜びしたんですが、一抹の寂しさも感じたんですよ。
ああ、こういう身も蓋もないものが作られ大ヒットした以上、オレらが与太話をする余地はなくなってしまったと。
「なんかジョン・ウーなんだよ」とか「とりあえずカンフー」とかはオタクの与太話だったじゃないですか。
それを有名な役者にやらせて、しかもビッグ・バジェットで!ってのは、絶対に実現しないことを踏まえた上での冗談だったのです。
しかし実現したのです。オレ達(達?)の妄想に極めて忠実な形で。
ここでタガが外れたのを感じましたね。
皆が思いつきはするけど、いくらなんでもそりゃねえだろうと思って手を出さなかった分野にGOサインが出たことを。
そして身も蓋もない映画がいくつか作られ、ついに「チャーリーズ・エンジェル」という原爆が投下されました。
与太話の中で「マトリックス」では扱われていなかった分野も実現したのです。
当時、これまた大喜びで観て「ウ〜バラクーダ!」とか騒いでたんですが、やっぱりチョッと寂しかったのです。
でも、まだ妄想の余地はある。与太話のネタはある。だっていくら何でもアリつうても、空飛ぶギロチンとかに手を出すやつはいねえだろう!
そう思ってたら「キルビル」ですよ。こちらの理想は全て実現。いや、それ以上だった。
修羅雪姫」とか、こっちが考えもしなかったところまでフォローされてましたからね。
これまた最高だ!と大噴火したのだけど、これで完全に与太話の余地はなくなったとも思いました。
極端に言えば、これから何を楽しみにすれば...てなことも考えましたね。あまりに理想が実現したので。
嫌じゃないんですよ。理想が形になり、たった1800円で観れたんですから。
なんと言いますか、例えば車を買う時ってどれにしようか悩んでる時が一番楽しいじゃないですか。
コレだと決めて、納車されて、じゃあドライブへ!の時も楽しいけど、でもアレにしようコレにしようと悩んでる時の楽しさはもうない。
そんな感じですかね。


そういうことを経た現在、多少の身も蓋の無さでは全く驚かなくなりました。
マトリックス」発「チャーリーズ・エンジェル」経由「キルビル」行きを経験したから。
あ、だからか。「イーオン・フラックス」にまるで心が動かされないのは。
これが良いことなのか悪いことなのか分からんですよ。