チーちゃんのドーンとやってみよう

ホテル・ルワンダ」を観たのです。
これ観てえなあと思っていたけど、同時にヤバイかもって思いもあった。
どうもお上品な作品らしい。事前にで騒がれすぎで、いざ観たら白けるかも。
そう思ってたんですね。結果どうだったかといえば満足しました。
以下映画の感想。
虐殺を題材にしてるのだから、ウォーズマン(ベアークロー装備)の残虐ファイトを期待するけど、実際にはテリーマンのクリーンファイト。
流血!生首!マジアヌーダ!を期待すると肩すかしをくらう。
でも、それはサービス精神の欠如ではなく、そういう風に作ってるんですな。
ケレン味を抑えて、なるべく他人事感を減らそうとしてるってことでしょうね。
日本に住んでて、ギットギトのオーバーキル描写に現実感を感じる奴ってそうはいないだろうから。
現実離れした娯楽として受け止める人間(例えばオレ)はけっこういそうだけど。
それに、ただでさえ「良心」を謳っているこの作品、残虐ファイトを盛り込んだら押し付けがましくなったかもしれない。
こーんなヒドイことがあったんだぜ!フツ族ってサイテーだぜ!それに立ち向かったポール・ルセサバギナは立派な男だろう?てな感じで。
もちろんそれでもイイんだけど、作り手の意図はそうじゃなかったと。
非常にマジメな題材をマジメに映像化しましたってことですね。
どんなクソマジメな題材だろうと、キリングジョークをブチ込むスピルバーグ異常(誉め言葉)だってことですよ。
で、他人事感の話なんですが、これこの映画のテーマの一つですわな。
この間観た「ロード・オブ・ウォー」でも突いてきた問題で、この手の作品ではたいてい扱われます。
でも、それを完全に消し去るのはどうやっても無理。
演出ありスコア付の役者による再現劇で、しかもスクリーンに映ってるもんですからのう。
そこは作り手も当然分かっていて「どんなヒドイニュース観ても、すぐに平気でメシ食ってんだよ」って台詞とか、俯瞰的な描写は避けて一人称的な作劇でいくとかは、なんとか他人事感を避ける工夫でしょう。
それが上手くいっているか?って話もあるし、別の誰か、例えば昔のオリバー・ストーンとかならどうなったか?てな意見だってあるでしょね。
オレ個人で言えば、十分でしたがね。
他人事感を減らそうとしてるってことを踏まえると、パンフの文章がキッカケで起こったあの騒動がいかにマヌケなものであったかが分かる。
町山智浩の文章は、他人事観を減らすことに対する援護射撃ですわな。
あの騒ぎはバカバカしくてチョットしか見てないが、そのなかで「ホロコーストに例えるべきだった」って意見が何回か出てたんですよ。
それじゃダメじゃん。現在の日本に住んでて、ユダヤ人虐殺を我がことのように思える人間がどれだけいるのやら。
オレがどうこうできる話じゃないけど、ゲッソリした騒ぎだったね。


ギロチン坊主と武田久美子がナイト2000に乗ってチキチキマシーン猛レースに参加してるような、そんな世界が好きなオレだけど、たまにはこういう映画もイイね。