火星の奇跡

一部の人間には人体切断描写という意味の言葉、切株。
これ最初に言い出したのは中原昌也だけど、いつ頃言い出したんだっけ?
しばらく考えて思い出した。「ゴースト・オブ・マーズ」が公開された時だ。
中原昌也はこの映画を絶賛してまして、その時に「切株」って言葉を使ったんですね。
たしかにイイ映画です。
愛だの恋だのなんてことは一瞬だって言わない大人の作風
SFだけど、光線の類は出ない。ぶっ放す、ブン殴る、ぶった切る。
そして盛りだくさんの切株サービス。
まあ、いつものカーペンターですよ。
ジョン・カーペンターの作品としては平均レベルと言われるけど、イロイロと奇跡が起こってる映画なのです。


・ミラクル1 音楽にアンスラックスが参加
深くうなずく組み合わせじゃないですか。
作曲自体は例によってカーペンター先生で、そこにイロイロ足していくというスタイル。
アンスラックス以外にも、スティーブ・ヴァイバケットヘッドが参加。
皆でガリガリギャンギャンと鳴らしております。
DVDには録音風景も収録されてるんですが、そこで思わずエアギターをしてしまうカーペンター先生が微笑ましい。
カメラが回ってるからとはいえ、スタジオでもマスクとケンタッキーバケツ被ってるバケットヘッド。律儀な人ですね。
さすが、ガンズ&ローゼスのメンバーとしてステージに立ったにも関わらず、不思議な踊りを披露し、ガンズファンを困惑させた男です。
・ミラクル2 豪華キャスト
主演はナスターシャ・ヘンストリッジ。「スピーシーズ」の女!
ナスターシャの相棒となるのが、アイス・キューブ。コワモテ。
ナスターシャの上司がパム・グリア首を刎ねられます
ナスターシャの部下にジェイソン・ステイサム。薄ッパゲの色男。斬首はされないけど刻まれます。
あと、名前は思い出せないけど、よく見る人達が出てます。刎ねられたり刺されたり刻まれたり。
アイス・キューブには3人の舎弟(バカ)がいるんですが、この内の1人はたぶん「パルプ・フィクション」でマーセルスを演じてた人。
オレ的には豪華演技陣です。いや、東映な書き文字で「異色演技陣」とあらわすべきですか。
あと、スタント・コーディネイトはジェフ・イマダ。アル・レオンが出てないのが悔やまれます。
・ミラクル3 充実した切株サービス
とにかくスパスパ切ります。生首がいっぱい。だって敵は首狩り族だから。
首狩りって...マーズ、火星だろ?なんでそんな所に首狩り族が?と言われそうですが、いるモンはいるんだよ
いちおう説明はあるんです。火星先住民が残した罠がどうたらってのが。でも、そんなのどうでもイイじゃん。
ウォーペイントにブスブスピアッシングで飾り立てた連中が、蛮刀持ってウガウガ襲ってくる。それだけでイイ。
こいつらの武器は蛮刀以外だと、槍と釘バットと丸ノコ。
特に丸ノコが素晴らしく、これをフリスビーみたいにビュンビュン投げてくるんです。
おかげでザクザク切断されます。空とぶギロチンそのものですね。ノーギミックのプリミティブなタイプの。
あと、驚くのは火星の赤い大地と首狩り族の相性の良さです。いるもんはいるんだよと言いましたが、それくらいマッチしてます。
そういや「火星のプリンセス」が映画になるらしいじゃないですか。アレにも首狩り族出てなかったっけ?緑の肌に腕4本のドルアーガみたいな奴が。
21世紀は火星=首狩りですよ。21世紀はセーラーマーズも首狩り族!すっげえ凶暴で、ヤスリで歯を研いでウガウガ首を刎ね飛ばす!


この映画、「バイオハザード」と同じ頃に観たんです。両方を見比べると、笑うくらい話が同じです。
両方とも金髪ねーちゃんが、元人間の怪人軍団と戦うって話ですから。
バイオハザード」のラストは地下鉄での脱出ですが、こちらも列車で基地から脱出するといった具合に状況設定も共通する部分が多い。
でも感触はまるで違う。
バイオハザード」って面白いけど、何かが足りない、そう思った人って多いのでは。
ゴースト・オブ・マーズ」には、その足りないもので溢れています。
いや、足りないものだけで構成されてると言うべきか。やっぱカーペンター先生は偉大ですね。