結論:バーホーベンの勝ち

ゲド戦記」がイロイロ言われてますね。オレはまだ観てません。
吾郎が、世襲がどうたらは、どうでもイイです。でも「原作を再現していない」と言う意見には思うところがあるんです。
以下、「ゲド戦記」とはまるで関係ない話。


オレは必ずしも原作を再現しなくても良いと思ってる人間です。
結果が良ければ、面白ければタイトルと設定の一部を借りただけのシロモノでも良いと思っているのです。
例えば「猿の惑星」。名作認定されてる作品だけど、アレは原作とは別物です。
後から強引に作り、しかも立場を逆転させてる「新・猿の惑星」こそ、実は原作に一番近い雰囲気を持ってるくらいです。
「バトルロワイヤル」は話の筋は同じだけど、やっぱり別物。
映画版では主役以上に重要なキャラだった教師キタノですが、原作では坂持金発という金八先生のパロディで、単なる悪役。
あくまで生徒達の話であって、キタノがいる映画版とはまるで雰囲気が違います。
いや、基本的には原作通りにした方が良いと思いすよ。リスク減らせるから。
二次作品を作ろうってくらい評価されてる話なんだから、それにそった方が安全牌ですからね。
そうだけでも、それはそれで難しいって場合が殆どではありますけど。
それ以前に原作ファンの気持ちも分かりますよ。
「変えるならそのタイトル使うな、別作品でやりゃあイイだろうが!」
でもそういうのって、実は出来上がった作品がつまらないから噴出するものなのじゃないですか。
原作と違っても、それはそれで楽しめたら、文句言う人は少ないんじゃないですかね。
「いや、変わっててもイイんだよ。原作の精神さえ生かしてれば」
そういう人は多いでしょうね。オレだってそうです。
例えば「キン肉マン」で何か作ろうって時に「友情なんざクソ食らえ」てなことしたら、怒る以前に「ハァ?」で終わりでしょうね。
でも、そういうことやってても評価される場合ってあるんです。「スターシップ・トゥルーパーズ」ですよ。
我らがバーホーベン先生の作品ですよ!
これ原作と比較するとスゴイよ。
だって原作を根っこの部分からコケにしてるから。原作で良しとされてるもの全てバカにしてるから。
映画版だけだと信じられないけど、原作じゃズイム軍曹って理知的な人物だから。
あのズイムがですよ。ボキっと折ってはメディーック!ブスっと刺してはメディーック!のズイムが。
原作では立派な人物達として描いてるのを、映画版はバカとゲスの博覧会にしてますからね。
敬意どころか嘲笑してかかるという、原作モノとしては最悪の態度で作ってるんですよ。
でも、傑作。個人的には90年代を代表する傑作だと思ってます。


原作云々は関係なく、要するにバーホーベンは偉大という当たり前のことを再確認したところで、出勤の時間となりました。