内なるグエムル

グエムル/漢江の怪物」を観てきたんです。
これ「WXIII パトレイバー・ザ・ムービー3」のパクリって話あるじゃないですか。
へえ、そうなんだ、ならば大いに期待できる、絶対に観よう。そう思ってました。
どういうことかと言えば、オレは「WXIII 」にガッカリしたんですよ。
駄作とは言わないけど、期待を下回ったんです。
この内容なら実写だろとか、いっそ特車二課出すなってのは言いっこなしにしても、内容がしゃらくさくって。
提示される「大人のドラマ」「リアリズム」がイチイチ小賢しい。不満タラタラだったんです。
しかし今回は韓国産
かって根本敬が血の代わりにマムシドリンクが流れてると評したドロップキック民族が放つもの。
理想の「WXIII」が観れることを確信し劇場に向かったのです。ワンゴンさま、滅ぼしてってたら滅ぼして!
しかし、観始めるとそういったものを感じない。ものすごく冷静な作風。
ソン・ガンホ一家は感情的だけど、作り手は突き放しちゃいないけどクールな視点で描写している。
人食い怪獣が出るにも関わらず、ゴアシーンなし。通常は煽るだろってところをかなり抑えてあるんですね。
一方で妙なところを強調してる。フザケすぎって言われるのはそれが原因でしょう。
ここでようやく、この映画の監督が「殺人の追憶」の人だったのを思い出したんです。我ながら迂闊ですが。
ならばコチラの思惑通りにはイカンよねえと思いなおし、素直に身をゆだねることにしました。
で、結果としては大いに楽しみました。120分もあるけど、退屈は一切しなかった。
「WXIII」?それとはまるで別物。比較するなら「宇宙戦争」、いや「サイン」でしょう。
パニックもので家族もの、なによりマジとギャグの混在による妙な感覚。まんま「サイン」じゃん。
実際、パンフレットの監督インタビューにも「サイン」の影響は語られてるし。
「サイン」は傑作と考えるオレが気に入るのも当然だったんですね。
この味わい気に入ったんで、今度は「ほえる犬は噛まない」を観てみよう。


充実した観賞だったんですが、最後にミスを犯したのです。
オレはエンドロールが終わるまで観るつもりでした。
だってこの手の映画だよ?それがあのラスト。ならエンドロールの後にもう1シーンあるに決まってるじゃん。
それを考えれば、流れるパンパラパッパ〜という呑気な音楽は、観客を油断させる罠ですよ。
フハハハ、こやつめ。オレが何年この手の映画を観てると思ってるのか。その手は食わんよ。
でも、今にもはじけそうな膀胱をどうすればイイんだ...
最初に尿意を感じたのはガンホキックでバーベキュー粉砕のあたり。その時はどうにかなると思ってました。
でもラストのあたりでは、ジューダス・プリーストの「メタルメルトダウン」が流れる状態。
オレの中にグエムル(怪物)が...このままでは失禁・ザ・33才。仕方なくトイレに行きました。
ホッとしてロビーに出ると、音楽は聞こえるけど上映室の扉が開いている。
エンドロールは終わってないのに扉が開いてる。もう1シーンはあれば開けないよね。ああ良かった。
そしたら室内から「グルルゥ」
なにかの聞き違いとは思えないし、あれどう考えても怪獣の声だよな...やっぱもう1シーンあったのか?
チョット検索してみたけど、そういう記事は見当たらなかった...
じゃあ、あの「グルルゥ」はなんだったんだろう。
かって漢江で怪物を見たけど、アレはなんだったのか...と語るポン・ジュノ気分を味わうこととなりました。