照之のために

出口のない海」を観たんです。良くも悪くも普通の映画でしたね。
男闘呼組高橋和也が出てるんですが、エンドロール見るまで松村雄基だと思ってました。
だって似てるじゃん。役も鬼教官で「川浜一のワル」のレールから外れるものじゃないし。
目黒勇樹も出てるんですが、これがイソップに見えたね。役も非常にイソップ的なものだった。
出演者云々を抜きにしても、暑苦しい状況(艦内は実際に暑くて狭い)とか、人間関係の描写とか、スクール☆ウォーズ臭が濃厚でした。
主役の市原海老蔵が野球青年だったり、ライバルの伊勢谷友介が陸上選手というのも花園という言葉を思い起こさせるものでした。
小沢仁志出せば良かったのに。


ここで問題なのは、何故オレがこの映画を観たのかってことです。
30代の人間で、コレを自発的に観ようと思う人間は少ないでしょう。オレも自分から観たいとは思わなかった。
なんでかといえば、誘われたからなんですが、誘ったのは同い年の女性なんですよ。
彼女とか妻とか元妻とかではなく、ただの友達ですがね。
30代前半が女性が、この映画観たい!てのは、おかしくはないけど普通はないこと。
だってこの映画は「夫婦50割引」という言葉が凄く説得力を持つ、ジイサンバアサン向けの内容。
その上戦争ものだし、戦争ものの中でも特に暑苦しい潜水艦映画だし。通常は女が近づかないジャンルです。
なのに、ホントに楽しみにしてた。劇場ロビーでも「ああ、早く始まらないかな」ってずっと言ってたし。
何故だ?海老蔵のファンか?それとも伊勢谷目当て?
でも両者共よく知らないと言う。伊勢谷にいたっては「この人誰?」と聞いてくるし。
じゃあなんで?と聞くと「だって香川照之が出てるじゃん!」。
これは虚をつかれた。彼女は香川照之の大ファンだったんですね。
それ目当てで「静かなるドン」を全て観るそうで。静也役は照之以外考えられない!と言ってました。
ちなみに「ゲド戦記」は?と聞くと、声だけじゃ物足りないからレンタルでいいやだって。
オレを誘ったのは、香川照之が見たいけど、1人で行くのはチョット...あ!アイツならOKでしょ!戦争もの好きだって言ってたし、それがええ!ってことだったんです。
もう5年くらいの付き合いだけど、こんな渋い趣味を持ってるとは思わなかった。
たしかに、以前「理想の上司は?」てな話題になった時に、白竜の名を挙げて異彩を放ったことはある人間なので、それを踏まえれば意外じゃないが、アレはその場にいた全員が冗談だと思ってたから。
イロイロと奇襲攻撃を食らった映画鑑賞でしたね。


追記
普通と言ったけど、見所がないわけではなく、回天の搭乗訓練の場面は良かった。
初めて乗ってみたら、まともに操縦できず、上下左右に蛇行して海底にぶつかりそうになったり、明後日の方向に行ったりして、挙句に目標ポイントどころが元の浜辺に突っ込んだりする。
そんな後のメチャクチャ気まずい雰囲気は、自動車学校でエンスト、坂道発進失敗で教官に怒られてたオレにとって、大変納得できる描写でした。