スーパッパ

サンキュー・スモーキング」を観たんです。
ここ数年、加速度的に喫煙者の立場は悪くなってきたよねえ。そりゃタバコは体に悪いが、現状は異常だよ。
ますますヒステリックになってきた嫌煙家どもにゃウンザリだぜ...
そこ颯爽と登場したのが、「ニコチン界のカーネル・サンダース」の異名を持つ男ニック・ネイラー!
彼の弁舌は偽善者どもを黙らせ、偽善者を利用する政治家の鼻を明かす。
一方で息子を愛する1人の父親でもある。オッパイトラップには弱いけどね!
...という映画ではないんです
この映画の感想を一言で言うと「イヨッ!詐欺師!」です。
詐欺師とくれば、誰が誰を騙してるの?ってことになるんですが、それが映画のキモです。
ニックは「情報操作の王」と呼ばれる男で、息子に自分の仕事について聞かれると「オレはロビイストなんだ」と答えるようなやつなんです。
ニック以外の「キャラも愛すべき人物」な描写をしてあるけど、ロクでもないやつばっかだし。善人ゼロ。
これは、野暮を承知で言うけど、タバコ業界を舞台にはしているが、喫煙はこの映画の主題じゃないんですよ。
なにしろ、タバコタバコと連呼してるにも関わらず、喫煙の場面は一切ないんです。吸いそうにはなるけど。
タバコ業界のビッグボス、ザ・キャプテン(フィルターを開発した男)ですら吸わない。酒は飲むのに。
タバコはあくまで道具であって印象操作についての映画なんですね。
映画自体が皮肉であり、印象操作は最後まで続くんです。まあラストを見れば、それに気付かない奴はいないか。
原作が10年前のものの所為か、チョッと古さを感じるところもありましたね。
タバコのイメージアップ作戦で、映画会社と組んでハリウッドスターにタバコ吸わせようとするんですね。
ブラッド・ピットに、キャサリン・ゼタ・ジョーンズに吸わせよう。カッコよくね!と。
今、そんなのに協力するスターっていないよね。これはあり得んと思った。
作中でも失敗するけど、それは作戦がまずかったからではなく、他の理由によるものだったし。
まあ、話の都合上あえてやったのかもしれないけど。
結局どうだったかといえば面白かった。料金分の満足はしました。


ところで、劇中に田舎に住んでる初代マルボロ・マンの家を訪ねる場面あるんですが、これが典型的な家に住んでるんです。
玄関の前に階段と縁側みたいなのあって、白い壁は横長の板でっていうアレ。で、外にはネルシャツが干してあると。
もうこれだけで、この家に住んでるのは絶対に殺人鬼だと思ってしまった。
これ、オレだけじゃないと思う。そんなことを思いながら、オレはタバコに火を点けるのであります。