相手が弱くても光るのはブルース・リーだけ

「300」を観たんです。
観賞前、この映画に対する思いはグラグラ動いておりました。
最初に知ったときは、もしかしてオレが待ち望んでいた「ロード・オブ・ザ・リング/2つの塔」の砦攻めの場面が延々と続くような映画か?!と大いに期待しておったんです。
しかし、イロイロ情報が出てくるにつれ、大丈夫かなと不安になってきた。
スチルやらを見ると、画面を処理しまくっている。ホント絵みたいな感じ。原作コミックの再現を優先した結果だそうな。
それ自体は悪いことじゃないけど、そういった行為って、獰猛とか野蛮とかといった要素と相性悪いんじゃないの?
結果、期待6割不安4割という状態で劇場に向かったんです。
さて観てみると、序盤は期待をガンガン煽る。
まずはスパルタの300人が、ペルシア軍に襲われた村に辿り着いた場面。
村人は当然皆殺し。死体の全部を磔と冒涜面も手抜かりなし。冷酷!残忍!やっぱ悪役ってのはこうじゃねえと。
しかも襲った連中ってのは研いだ爪や牙で皆を引き裂いたという。ああ、残虐。人じゃないのかな?
次にペルシアの船団を目にしたスパルタ兵が笑みを漏らす場面。
一緒にいた他国の隊長が「なんで笑うんだ...」と言葉を失うんですよ。あれだけの大軍勢を目の前にして何故?と。
しかもこの「笑み」ってのが「ウへヘ」と涎垂らさんばかりのシロモノで、どうみてもイカレてる。
この時分かったね。スパルタ兵達は狂ってる。普段はまともなフリしてるが、実は戦いを求めてやまぬ狂鬼軍団だと。
てことは、スパルタ300VSペルシアってのは、不退転狂鬼軍団VS残虐獣人大兵団か!不安、吹っ飛びましたね。
しかし、いざ戦闘が始まるとさあ。弱い。敵が弱すぎて盛り上がらないよ!
もうスパルトイの皆さんはまるで苦戦しないの。バッタバッタと一方的に倒しまくるの。
そりゃスパルタ兵も死んだりするよ。でもそれは強敵の力で殺された!ではなく、ウッカリかなんとなくなのよ。
オレの期待を背負って登場した不死隊もショッカーの戦闘員みたいだし、フリークス巨人も大したことないし。
ならば動物。犀だ!象だ!と思ったらさあ。たしかに足元には注意しなきゃいけないけど、あんなオチかよ...
それだけスパルタ兵が強いってことだし、そもそも20万を超える大軍勢ってだけで強大な敵って描写は十分だろと言われるかもしれないですね。
そりゃそんくらい分かりますよ。でも、相手は強敵だという具体的な描写が欲しかった。
敵の強さを、説明ではなく具体的に見せてこそ、主人公も光るワケじゃないですか。それが感じられなかった。
だから、やってることはハードコアなのに、なんかダラダラしてると感じられちゃって。
序盤の展開のせいで期待しすぎたってのもあるかもしれないですね。決してつまらないとは思わなかった。
首も手足もバンバン飛ぶし、串刺しのサービスまであったりと、実に良心的な映画ですから。
まあ、今月は同系統と思われる「アポカリプト」がありますからね。そっちに期待します。