早くメガネを!

トランスフォーマー」を吹替え版で観たんです。
普段はあまり吹替え版を選ぶことはないんですが、これは積極的に選びました。
まず、コンボイ司令官の声は、原語でも有名人を使うとかでなく、長年演じてる人が担当してるじゃないですか。
これは、馴染みの声でどうぞ!という演出ですよね。それなら、日本では玄田哲章の声で聴くべきだろうと。
次に、とにかくガチャガチャした映画だと聞いてたんですよ。まあ、ベイ映画だし。それを字幕で、しかも大画面じゃ見辛くて、ロクに把握できんかもしれん。
そんな理由で吹替えを選んだんですが、これが大正解。場面によっては吹替えだから生まれたものもありました。


まず映画自体なんですが、いやスゴイ。これぞ本当のガキ帝国。
出てくる要素ってのが、軍隊!戦闘!宇宙!ロボ!おしっこチャー!という、義務教育で得たものが根こそぎ奪われてゆくような、それくらい幼稚極まりないものだけ。
途中挟まれる「思春期なんだからイロイロある!」なギャグのおかげで少しは上昇してるけど、作品の精神年齢は大変低い。高く見積もっても10歳が限界です。
いや、思春期ギャグだって中1レベルですけどね。主人公は高校生なのに。
以上、全部誉め言葉として言っております。こういう幼稚さは望むところだ。もっとだ、もっとこい!
次、吹替え版の魅力の話。
この映画、中盤まではメガネ争奪戦なんですよ。ホントだって。ロボがメガネ争い繰り広げるんですよ。
だから「メガネが...」とか「早くメガネを!」という台詞が連呼されるんです。
メガネという日本語は、響きとしては恐ろしくマヌケじゃないですか。言い訳はできない。
例えば、もしも松田優作が、松田メガネという名前だったらどうなるか。つまり、そういうことです。
そんな言葉を、ゴッツイ顔のロボが、大真面目に、玄田哲章の低音ボイスで発音するんですよ。
なんて雰囲気なんだ...絶句しましたね。上映中なんで喋ってないけど言葉を失ったんです。
この思いに捕らわれたのってオレだけじゃないからね。だって聞こえたから。隣にいた人が思わず「メガネメガネって...」とつぶやくのが。
これはベイもスピルバーグも想定していない、吹替えだからこそ起こった奇跡でしょう。


結果どうだったかといえば、大いに楽しみました。観てよかった。
でも不満もあります。この不満、決して小さくはない。
それは、もうイロイロなとこで言われてることですが、あの意味なく動き回るカメラワークですよ。
ホントにガチャガチャして、何が起こってるのか把握できない。おかげで損なわれてるものは大きいと思いますよ。
序盤の、まだディセプティコンがなんかよう分からん、恐怖の存在である時はアレでもいいと思うんです。
「エイリアン」で、エイリアンの姿はハッキリとは写さずにいるってのと同じ理屈ですよ。
でもカーチェイスや、ラストのバトルシーンまでアレってのは正直鬱陶しかった。なんでチャンと見せないんだよ。
その上、トランスフォーマー達が皆同じような戦い方するの。乗用車とか戦車とかヘリとか、まるで別物のはずなのに。
個性を感じられたのは、スタースクリーム(戦闘機型)とスコルポノック(サソリ型)だけってのはどうなのよ。
こいつらだって、他とあまりに形態が違うんだから、違って見えて当たり前だし。
続編では、この辺は絶対に改善していただきたい。せっかく作りこんだCGあるんだから、もったいないよ。


あと、最近ゲームオタクなデブ黒人をやたら目にする気がするんですが、これって最近のスタンダードなんだろか。