美少女探偵登場!ガーン!

グラインドハウス映画入門」を読んでいると、男は歳を取ると関心は乳から尻へと移るとありました。
たしかにそんな気はしますね。観たり読んだりしてて、これオヤジ臭いなと思うものは、大抵は尻がメイン。
これがさらに進むと、うなじとか喪服とか「夕顔夫人」となるんでしょう。
で、個人的に尻派な人というと思い浮かぶのが菊地秀行
尻派なあまり、薔薇の花より菊の花(男色にあらず)な場面を数多く描き、若き日のnikuzombieを困惑させた人です。
この人、尻派ですから小娘に用は無いんですよ。
40代後半はありだが、10代半ばなんてありえない。ロリコン?バカ言ってんじゃねえよってのが先生の姿勢。
それを踏まえた上で見ていただきたいのが、菊地先生の新刊ですよ。本屋でみつけて絶句しましたね。

帯には「愛くるしい名探偵登場!」。10代半ばどころか、どうみても小学生。ちなみに短編集です。
名(と言っていいのかは分からないけど)は人形娘。その名のとおりオニンギョです。
魔女によって作り出された、一種の使い魔で、身の回りの世話や儀式の助手が主なお仕事。
性格は語尾に「ですわ」をつけるタイプ。お上品。挨拶の時はスカートの端をつまみます。しかも健気。
たまに毒液タンク抱えて自爆攻撃しかけたりもするけど、それも健気さの現れですよ。ああ、これってやっぱり。
ただ、口にこそ出さないが「男は顔だ」と思ってるふしがあるので、そこが昨今の流れとは違います。
このキャラクター、菊地秀行はあまり気に入っていなかったそうです。
あとがきによれば、随分と前から、人形娘を主役で1本書かないかと言われ続けたけど断っていたそうです。
「この娘を好きな男は、ロリコンではあるまいか」と思い、「好きな読者多いんだろうな」と確信し、結果「脇役に留めておこう」となった。
まあ、尻派のオヤジですから、こういうキャラをメインで使うのは抵抗あったんでしょう。
それがなぜ今回はというと、やっぱ読者からの要望が多かったからだそうで。「好きな読者」はホントに多かった。
それだけでなく、長く続いたシリーズに新しい要素を入れたかったという、作家らしい考えもあるんですが。
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」どころか「とりあえず 殺してからだ ホトトギス」なキャラばっかだったからねえってことらしい。
今までも、冷酷な連中ばっかだったってワケじゃないけど、もう少し優しさを前に出そうと。
たしかに内容はそんな感じです。奇怪な事件に出くわすが、相手をブっ殺さない人形娘は、結局は傍観者になってしまうてな感じですね。
まあ、「邪悪なデブ」ことトンブ・ヌーレンブルクも出てくるんで、お笑いじみた話もあるんですが。
読んでどうだったかと言えば、面白かったですよ。
ロリロリはしてません。どころか、ロリコンオヤジにちょっかい出されたけど、軽くいなしちゃうって場面もあります。
人形娘が吸血鬼(イケメン)に抱きかかえられて空を飛ぶって場面ありますが、お姫様...ではなく、ここは正しく「半魚人持ち」と言いましょう。
読み終えてみれば、菊池秀行が書いてもおかしくない話でした。
でも表紙見た時は、エルトン・ジョンが女性と結婚して、しかも今更子供ができました!って言われたのと同じくらいの衝撃でしたね。


あと、若い人はこれ見てローゼンなんとかのパクリとか言わんように。人形娘は約20年の芸歴を持つベテランです。
それはパメラ・アンダーソンの行為は、パリス・ヒルトンのパクリと言うようなものですよ。


追記
「半魚人持ち」ってキーワード化されてたのか...!「半魚人持ち」についてはこちらを参照。