カート・ラッセルはいい湯加減

やっと「デス・プルーフ」を観たんですよ。2度と同じ間違いは繰りかえさねえ。
体制も万全。ちゃんとガソリン足してからにしましたよ。劇場では赤ら顔ですよ。
ただ、ビール2缶はともかく、メインとなるのはチョーヤの黒糖梅酒だってのは我ながら違う気もしたけどさ。


映画の方なんですけど、面白かったです。
分割上映とか、場末で上映される安物映画を目指してるのに、2時間あるとか不安要素もあったけど、大丈夫だった。
評判の悪いトークの場面だけど、アレは「ハーイ!トイレ行くなら今ですよ」ってことでしょ。
ご丁寧に2回もあるし。行きそびれた人にもチャンスはあるんですよ。1回じゃなくて。
オレは2回とも行った。ビール飲んでたからトイレ近くなっちゃってね。
それとこれは言っておきたいんですが、あの場面を指して巷じゃ「女の子」とか「ガールズ」って言うじゃない。
この映画に出てくる女優って30近い人ばっかだよ。シドニー・ポワチェの娘なんて34歳。オレと同い年。
ついでに、こっちにもチョイ役で出てるローズ・マッゴーワンだって34歳。
後半の主役、ゾーイ・ベルは20代だけど、子供3人いますって言われても納得できる面構えだし。
世間がオレのことを「男の子」「ボーイ」と呼ばない限り、ガールズって言葉に納得するわけにはイカンね。


で、映画の話に戻ると、カー・スタントの場面は凄いですね。ビックリしたし、興奮もした。
パンフレットによれば撮影に7ヶ月かけたとのこと。そうでしょうよ。見るからに大変そうだったから。
ボンネット上でエンヤコラの場面で、ゾーイ・ベルがバランス取ろうと手足バタバタさせるじゃないですか。
アレは現在のところ、CGでは出せない必死さだったと思う。素直に凄いと思った。
その上、ジャケット借りて着ようとするけど断られたり、風に煽られてシャツがめくれてヘソ丸出しになるカットあったりと、Tシャツ一枚でノーガードであることを強調してるんですよ。
この映画の裏テーマは「今はCGばっかだけど、昔は凄いカーアクションがいっぱいあったんだよ!」じゃないですか。
まあ、台詞でしつこいくらい言ってるんで、裏もなにもあったもんじゃないけど。
それを考えれば、スタントが凄いのはある意味当然なんですが、ここにタランティーノの生真面目さを感じるんですよ。
スタント場面の撮影には、7ヶ月の時間をかけたそうです。ロジャー・コーマンなら20本は撮る時間ですよ。
観客にはテキトーな観賞スタイルを奨励してんですけど、作り手はそうでもないんですよね。
上映環境の話なんですが、斧やナイフの代わりに車を使う殺人鬼ってことで、この映画では車=怪物なわけですよ。
なんで、排気音やスキール音を怪物の唸り声の代わりとして演出してある。衝突音は咆哮ですよ。
これらを味わうには、それなりの音響設備があった方がいいと思う。となると、シネコンやオシャレ劇場になる。
これらに、過去の名作への賞賛、それからの引用とかの存在を考えると、「グラインドハウス」という言葉から感じるものからは、良くも悪くも外れてるように思うんです。
たしかに話の筋自体はアホみたいだけど、でもシネフィルを自称する人間が作った映画だってのを感じましたね。


楽しかったんですが、でもこれは「プラネット・テラー」と2本立てで観たかった。
それと、錚々たるメンバーが作ったウソ予告、アレ流さないんだよ!なにを考えてんだ。
4本あるんだから、2本くらいは流すだろって思ってたのに。
プラネット・テラー」の時は絶対に流していただきたい。できれば「ショーグン・トーチャー」も。