プローラー

ペルセポリス」を観たんです。
昼の上映だったんですが、15人くらいの客がいました。ほとんどが女性客。男はオレ含めて2、3人だった。
そしてオレ以外の全員が、これ見よがしではなくサラリとオシャレって格好の人達。
オレが「妖魔軍団」や「闇狩り師」を読んでる頃に、椎名誠群ようこを読んでたであろう感じの人達ですよ。
まあ、当たり前なんですがね。だってポスターがこんな風な作品だし。


映画の話ですけど、イロイロ気になる場面があったんですよ。
まず、主人公マルジャン・サトラピが子供の頃に、おばあちゃんと怪獣映画を観に行くって場面。
原作では台詞だけで説明されてた場面だけど、その映画が具体的に絵になってました。
その怪獣ってのはゴジラでした。まあ、イランで「大怪獣ガッパ」はやらんよね。
でもこのゴジラ、人を食っちゃうんだよ。ゴジラは食わないって。食うのはガイラかバラゴンだよ!
しかも、鑑賞後におばあちゃんが「まったく日本人て奴は、どうして怪獣に切腹させるんだろうね」と。
そんな映画ないよ。というか観たいよ。タイトル教えておばあちゃん!
次、サトラピがテレビで「おしん」を観てる場面。これ原作読んでないと「おしん」とは分からない。
だってテレビには2人の女が映ってるけど、2人とも中国風の衣装着てるから。百歩譲ってもチャングム
おしんっだってんなら、手ぬぐい頭に巻いて大根メシ食ってなきゃ。おしんの「しん」は辛抱の「しん」!
ハァ...嫌ねーオタクって。ツマンナイところばっか気にして。
それに気になるとか言ってるけど、本当は「まあ、僕は知ってるんですがね」って言いたいだけじゃない...
てなこと言われるのは重々承知。なんで続けます。次が本題。前にこんなこと書いてたんですよ。
http://d.hatena.ne.jp/nikuzombie/20080111
当時5人組だったアイアンメイデンが、作中では4人となっちょる!違うって!映画では直しとけよ!
って話だったんですが、このエピソードはカットされてました。
まあ、上映時間が1時間半なんでイロイロとカットされてる話はあったんですが、そうきたか...
メイデン云々を抜きにしても、両親の機転をチョット面白く描いた、イイ場面だったんですがね。
違う場面でメイデンの名前は出るんですよ。
そのポスターも映る。でも画面の端に一瞬出るだけで、人数を数えられなかったんですよ。
もしかして、世界中のオレみたいな奴がグダグダ言ったせいでこういう描写になったんだろうか。


映画自体の話なんですけどね、原作よりも重たい話になってましたね。
これは漫画ではサラっと描いてた場面も、音と動きが加わり大仰になってるからだと思う。
漫画では見下ろす大人と少女サトラピが1コマに納まってる場面も、映画では影がグワーっと伸び上がって覆いかぶさるように描かれてますからね。
同じように、革命派と王制派の戦い、兵士が追ってくる場面なんかが、漫画より誇張され、具体的になっている。
このせいで、人が死んだり町が吹き飛んだりっていうことの悲惨さが割り増しになり、重みを増してるんでよ。
まあ、楽しい場面も空を飛んだりクルクル回ったりと、割り増しになってはいるんですがね。
また、原作は革命や戦争の描写もあるけど、それでも軸になるのはマルジャン・サトラピの個人史なんですよ。
映画版は、個人史だけど、原作よりさらに戦争や国の変化の影響が前に出てる感じです。
ウィーン滞在中の話や、結婚後イロイロあってという、ホントに個人的な話がかなり簡素化されてるんですよ。
前述の両親の話とか、そういう周辺人物の小ネタも少なくなっている。
こんなんで、原作よりも、ある種のではあるけど戦争モノという味わいが増し、重くなってるんですよ。
もちろん、それでどうこうってことじゃないです。味わいが違うだけで、映画版も面白かったです。


映画全体の雰囲気をまとめると「一休さん」ですね。あくまで雰囲気が、ですが。
「面白かった?じゃあね〜」の回と「どうだった?じゃあね〜」の回を一緒にしたって感じですよ
ゴジラとかアイアンメイデンとか、あと序盤でブルース・リーもあったりでボンクラ風味もあります。
よく言われる「ちびまる子ちゃん」は映画版ではあまり感じられないです。
上映室に入った時は、場違いな所に来ちゃったと思ったんですが、終わってみれば、かなりオレサイドでしたね。