お父さんは心配症

破壊屋を読んでたら、こんなが記事ありました。
http://hakaiya.web.infoseek.co.jp/html/2008/20080307_1.html
この話読んでたら、先月実家に帰った時に父親がした話を思い出したんですよ。


父親がまだ若い頃、美空ひばりの地方公演があり、そこでバイトをしたんだそうで。
美空ひばりと言えば神戸芸能社。神戸芸能社と言えば山口組であります。もう常識。
しかし若僧だった父親は、そんなことは全く知らずにエンヤコラと働いていたんです。
すると、なんか偉そうにしてるオッサンが30前後の男と話している。揉めてるみたいだ。
オッサンの方が「いいから、お前は帰れ。そういうのはいいから」と諭すように言っている。
男の方は「そうはいかないです」と譲らない。オッサンに対する態度は丁寧なものだけど、チト頑なな感じ。
なんだろうなあと思ってると、現場のまとめ役の人が「コラ、こっちきなさい」と呼びつけてくる。
まだやること終わってないんだけど...と思いつつもその場を離れると、まとめ役の人が言ったんですね。
「あの人はね、タオカさんだよ」
タオカ...誰?と聞くと「お前分からないのか?親分さんのタオカさんだよ」
ここでタオカさん=田岡一雄とようやく気づいたんですね。
例の男ってのは関西からやってきたボディガードで、「そういうの」とはどうも拳銃らしいことが分かったんです。
これがいつの話かというと、父親の記憶も曖昧なんですが、就職前だったとのこと。
今年63歳で高卒の人間が就職前というと、まあ40年以上前なのは間違いない。
40数年前に「ヤクザ」と「拳銃」と言えば、現在よりはるかに身近で重大な意味をもつ言葉です。
分かった時は膝がガクガクになり、もうこんなバイトはしないと心に決めたそうです。


聞いた時はイイ話持ってるなあ〜と思ったんですが、でも父親の年齢を考えると特別な話じゃないのかも。
あの世代の人間にはこういう経験持ってる人って意外に多いと思うんですよ。
特に飲み屋や興行絡みのバイトしてたのなら、1回は経験してるはず。気付いた、気付かなかったの違いだけで。
話の後、オレが「そんな事があったんなら、もうそういうバイトはしないよな〜」と言ったんです。
すると「いやあ...その後も何回かやった」と言う。「だって若いから金ないし...」とか。
まあ、そんなもんだよな。