イイ人なんだけど...ね

「ストレンジア/無皇刃譚」を観たんです。
この映画、真面目に作ってるのはよく分かるんですよ。
主役の声をあててるのが長瀬智也なんで、ジャニタレ人気を狙った浮ついたものと思いがちだけど、そうじゃない。
長瀬智也も、これならジャニーズとか関係なしにお金とれるよねって演技してたし。
明からやってきた暗殺部隊が出てくるんですが、当たり前っちゃそうだけど、基本的には中国語喋るんですよ。
別に全編日本語で通しても文句言う人間は少なかろうに、わざわざ外国語喋らせてるってのは手抜きのない仕事だ。
全体的にそんな感じで、好感の持てる作りで嫌いにはなれないんです。


でも、「面白かった?」と聞かれると答えはNOなんですよ。退屈する時間がかなりあったんです。
事前にかなり地味だってのは聞いてたんですが、ホントに地味なんですよ。
間に挟まれる日常描写とかが退屈なのは仕方ない。ダレ場ってのはそういうもんだから。
でも肝心のアクション場面で退屈な思いしちゃったんですよ。
地味にしてやる!ってことじゃないんですよ。派手にするべく作ってるんですよ。でも印象に残らないの。
なんというか、ワルノリした時のドニー・イェンみたいな感じ。
これが実写だったら、少々アレでも生身の人間がやってるんだよなっていう補正があるからいける。
でもこれアニメだから。アニメでは少々のことは「まあね」ですんでしまう。
ここで比較として出すのが「少林サッカー」。あれはかなりCG使ってたけど、実写作品と言っていいでしょ。
やってることはアニメでは当たり前のことばっかだったけど、それを実写でやたったら物凄い存在感を放った。
そういう「少林サッカー」で得たものと、全く逆のものを「ストレンジア」で感じちゃったんですよ。
アニメ版「魔界転生」(あるんだよ)みたいな、ドラゴンボールじみた大仰かつ大味なものは勘弁してほしいけど。
あ、今になってこの思いを表す言い方思いついた。この映画、忍者が出ないんだよ!
リアリズム重視でない時代劇では、忍者とか妖術師とか異形人とか怪獣とかは、出してナンボですよ!
男女も生死も関係なく犯しまくり、すんだらバリバリ喰う。後は髑髏杯で女体酒をガブ飲み。
大方の人にはどうでもイイことでしょうが、オレにとっては必要なものなんです!そういう奴もいるんです。


これは理想を追いすぎかもしれんし、そういう作品じゃないってばと言われればそうだ。
でもアニメなんだから、もう少しムチャしてもバチは当たらんですよ。
だって、この作品はリアリズム重視じゃないでしょ。所々にそんな風な場面あるけど、やっぱアニメ演出。
特に話の鍵になるボウヤは、いかにもアニメアニメした演出だったから。
アニメ演出ってのは、少年なんだけど少女と言っても違和感ない振る舞いってことです。声も男ではなく女だし。
ここまでやるなら女の子でイイじゃないの。スクリーンに映るのは「勝気なお姫様」そのものだったから。


アニメだから派手にやらねばならないっては固定概念だ。それを打ち破りたい。
もしかして、そういう理念があったんだろか。もしそうなら、そういう志は買いますよ。
でも、やっぱアニメには派手でムチャクチャなことをして欲しい。
そう、今でも「機甲界ガリアン」の機甲兵の名前が全部言えるアニメっ子(腹毛ビッシリ)のオレは思うんです。