片腕のルーツ

「片腕ドラゴン」を観たんです。
続編である「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」しか観てなかったんですよ。
ギロチンでは、クレバーで済ますには、あまりに悪辣なファイトで皆を楽しませてくれたジミーさん。
本作では正々堂々たる武道家なんですよ。卑怯なことはしない。
罠にかけたり、大勢で襲い掛かったり、爆弾使ったりしないんですよ。
それをするのは敵の方で、ジミーさんはされる側。
本作でも、敵が仕込み刀を使ってくる場面あるんですよ。ここはジミーさんではなく師匠がメイン。
その師匠が、仕込み刀とは見下げた奴だ!てなことを言うんです。
続編でジミーさんはそういうことに対して「参考になる」ですよ。
実際、参考にしてるしね。ギロチンでは、上の悪辣ファイトを全部相手にやってるから。
この違いはなんなのよ。やっぱ年数たつと人も変わるのか?
いや、そうじゃない。変わったと言うより、続編ではジミーさんの本音、いや地が出たと解釈すべきでしょう。
まったく、ジミー宇宙(ウォン宙)は果てしない。オレのモノサシじゃ測りきれん。


その思いをさらに深めるのが、コレクターズBOXに同封されてるブックレットですよ。
これにキャストの紹介があるんですが、これまた絶句するものがあるんですよ。
出演者の1人、ロン・フェイの近況はこうですよ。

近年は映画出演が途絶え、その消息も不明とされるが、一説には借金絡みで事件に巻き込まれ失踪中とも言われている。

次、やはり出演者のサン・マオ。

残念ながら77年3月に台湾でタクシー運転手と口論の果てにドライバーで頭部を突き刺され即死。このサン・マオの訃報を聞いた時、親分のジミー・ウォングは嘆き悲しんだと言う。

ドライバーで刺されたって、頭蓋骨あるんだから刺されたのは眼窩ですよね。しかも即死ってアナタ。
それに、さらっと書いてあるけど「親分」ですよ。てことは、サン・マオも黒社会の一員ってことか。
どうして、こんな物騒な話ばっかなのか。いや、どうしてじゃねえよな。だってジミーさんの周辺だから。


作品と作品外の部分でも楽しませてくれた「片腕ドラゴン」。観て良かった。
オレは本来のものとは逆の順序で観たけど、これどっちが先でもいいよね。どっちにしろ絶句するから。