今度こそと、もう15年前から言ってる

「エイリアンVSプレデター2」を観たんです。
「モンスター・パニック」みたいな映画でしたね。電子ゲームじゃなくて、映画の方ですよ。
映画自体は「エイリアン2」をメチャクチャ意識してるんですが、味わいは「モンスター・パニック」。
もっと言うと80年代に大量生産されたモンスター映画群の味わいで、ホンッとにB級映画なんですよ。
威厳とか格式なんて一切ないから。ついでにヒネリもない。
だからって、偉そうなスノッブどもへのカウンターになるものかというと、そういうのも無いんですよ。
そんな映画だからゴアシーンは大変エグくて下品。
一番凄かったのが、今回赤コーナーを担当するプレデリアンが妊婦を襲う場面。
妊婦の腹をチェストバスターが突き破るんですが、一人の腹から5匹くらい出てくるんですよ。
蛆虫みたいで実にエグい。近くの席の夫婦らしき2人(たぶん50過ぎ)が「うえええ〜」って叫んでたもん。
そして迎えるラストは、30以上の人間なら誰もが「やっぱし」と思うこと間違いなしのアレです。
既視感を感じてばっかりだったけど、考えてみれば最近こういうのを観てなかったなと感慨に耽りもしました。
オレは故郷の懐かしさを感じたから好意的だけど、若い人はこの映画観てどう思うんだろう。
やっぱ「バーカ」ですませちゃうんだろうか。それはアンマリだ。確かにバカだけどさあ。


で、青コーナーを務めるプレデターの行動が作品のバカっぷりに拍車をかけるんですよ。
コイツはザ・クリーナーなんて大仰な肩書き持ってるんですよ。THE付きですよ。
証拠隠滅しながら行動したりと、この辺はクリーナーですね。
ところがコイツは要所要所で失敗を繰り返す。ウッカリ人間に見つかったり。
その発見者を殺すまではイイけど、でも皮剥いでぶら下げるって、それじゃ隠滅になってないじゃない。
そこはプレデターなんだから仕方ないのかもしれないが、チョットは我慢しろよ。仕事で来てんでしょ。
挙句に発電所吹き飛ばして騒ぎを大きくしてるし。ああ、二次災害。


もしかしてザ・クリーナーって自称なんだろか。バカみたいじゃなくて、ホントにバカだったとか。
オレは一味違うぜてな態度とってるけど、プレデターの間じゃ「ああ、あのトンパチ」でオシマイとか。
今思うと、その程度の奴として描かれてるフシがあるんです。
まず、こいつ一人で地球に来てるんですよ。
いつもの狩りと違って、異常事態の解決が目的なんだから、普通に考えればチーム編成で出動じゃないですか。
なのに一人なのは、実力を見込まれてじゃなくて、誰も頼んでないのにコイツが勝手に飛び出しただけじゃねえの。
前作だってプレデターは複数名いたんだし、問題はないはず。作劇的にも派手になってイイじゃない。
次に、ほぼまるごしで地球に来てるんですよ。
劇中使ってた武器って、墜落した宇宙船から拾ってきたものだから。キャノン砲とか溶解液とか全部拾いもの。
自前の武器って、篭手に収納してるアイアンクローぐらいなもんだったじゃないですか。
これたぶん、武器の所持を許可されてないってことですよ。店に行っても「なんだお前か」と売ってもらえないの。
そんな奴だから、普段からドロドロのコンプレックス抱えてるんですよ。
ましてウルトラマッチョ社会であろうプレデター星ですからね。もうシャレにならない。
だから「いつか見てろよ」と、警察だか軍事用だかの通信を常に傍受して機会をうかがってた。
そしてついに機会やってきた。オレが男だってことを皆に分からせてやる!
精神的にはトラヴィス大陸の住人だったんですよ。クリーナーって。髪があればモヒカンにしてたはず。


こう考えたら、なんだか悲しくなってきた。軽々しくバカ呼ばわりしたのは間違いだった。
そりゃ騒ぎはひどくなったし、ラストはアレだが、アンタなりによくやったよ...そう言うべきですね。
でも、なんで悲しい思いせにゃならんのか。プレデターって強靭な戦闘民族のはずなのに。
見てて燃え上がったりビビったりはしても、その逆はないはずなのに。
あ、でも過去のプレデターもロクなやつじゃなかったか。看板に偽りありな奴ばっかだった。
プレデター」のやつは、スポーツハンティングに興ずる金満野郎にしか見えなかった。
プレデター2」はどうにも行動がチンピラ臭かった。
「AVP」の前作は、ファースト・タイムにオロオロする童貞ボーイズだったし。
ここでいう童貞ってのは板垣恵介が言うところの童貞ですが、言葉本来の意味でも似たようなものです。
なんの遠慮なしにカッコイイって言えるプレデターって、カプコンのゲームの奴だけじゃん。

次があるんだったら、どう考えてもコレをやるべきですよ。話もつながりそうじゃない。