インモラル猿人

今月の映画秘宝読みました。
安藤健二の「封印作品の憂鬱」シリーズが再開され、今度の題材は「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」。
かって秘宝は、チャイヨーにインタビュー取りにいくという快挙にして暴挙をやってのけたけど、ついにきたか。
しかし円谷VSチャイヨーの争いは、先月に円谷が奇跡の逆転勝利を得たばっかり。
記事の方もモロに影響を受け「ウワー困った!取材予定が白紙に!」とストレートに書いてありましたね。
状況に動きがあるのは、ジャーナリストとしては歓迎だろうけど、この時期とはお気の毒。次回に期待します。


記事を読み、皆に愛されているヒーロー(嫌いって人おらんでしょ?)ハヌマーンに思いをはせました。
タイが育んだウルトラ暴力ヒーロー。怪獣相手にゃ容赦はしないぜ。
首は刎ねる、腕は引っこ抜く、皮と肉吹き飛ばして骨だけにする、1対7でかわいがると獅子奮迅の活躍。
人間だって、相手が悪人なら同様だ。巨大化して追い回し、踏みつぶすは握りつぶすはご意見無用。
そして言うのがこの台詞。
「仏教を大事にしない奴は、死ぬべきなんだ!」
皆を絶句させた名台詞。もちろん、オレも言葉を失いました。
ああ、パニッシャー。微笑みの国の処刑人。こんなヒーロー、世界中見渡してもそうはいない。
しかしハヌマーンの由来を思うと、先の台詞はチト皮肉なものに聞こえてしまうんですよ。


ハヌマーンの由来については検索して下さい。オレより詳しい人が解説してますから。
少しだけ言うと、ハヌマーンは元々はタイ仏教のものではなく、ヒンドゥーの神です。
叙事詩ラーマーヤナ」にも登場し、そこで英雄ラーマの配下にして親友として登場します。
どれくらい親友かといえばこのくらい。

ハヌマーンのご主人様であるラーマは、ヒンドゥー教で重要な存在であるヴィシュヌ神の権現なんです。
このヴィシュヌ、ラーマ以外の姿をとることがあるんですが、そのうちの1つがブッダ。釈迦如来
宗派が違うじゃん。それってダイサク先生はイエスの生まれ変りってくらいのムチャじゃないの...
オレが言ってるんじゃないって!ヒンドゥー教ヴィシュヌ派の教義じゃそうなってるんですよ。
そんなことするくらいなら、ヴィシュヌ派は仏教に対して友好的なのかと言えば、それは違うんですよ。
ヴィシュヌがブッダとして現れた理由ってのが、誤った教え(仏教)を広めることで悪人を引き寄せ、清らかなヒンドゥー教徒から引き離すため、ワザとそうしてるって言うんですよ。
つまり仏教なんてなゴキブリホイホイってことですよ。完全に敵視してるよな。
そんなヴィシュヌの権現ラーマに、並々ならぬ思いを抱くハヌマーンが「仏教を大事にしない奴は!」ですよ。
もちろん、タイでは全く矛盾ではないんです。日本と同じで、ヒンドゥーは仏教の一部として扱われてますから。
それでも、それでも誰がどういう方法で、この純真な若猿をここまで仕込んだのかと思わずにはいられない。
思ってたら「シネマジック...シネマジック!」とフルボリュームで聞こえてきたので、もうやめます。