偏見

アイ・アム・レジェンド」が公開中であります。
都合がつけば観にいく予定ですが、思うことがあるので事前に内容を予想しておこう。


原作は、言わずと知れたリチャード・マシスンの「地球最後の男」。
落語の「一つ目国」みたいな話で、多数派と少数派の立場が逆転する話です。
特殊なウィルスが蔓延により人間の多くはヴァンパイヤに変貌。ヴァンパイヤ達が新たな支配種族となる。
人間のまま逃亡生活を続ける主人公だったが、ついに囚われ檻の中。
前を通りかかったヴァンパイヤ親子が恐ろしげに主人公を見る。子供の方は悲鳴すらあげた。
その時、主人公は全てが完全に逆転したことを悟る。
かってヴァンパイヤこそは伝説上の怪物だった。しかし今では、自分こそ伝説の怪物なのだ。
「オレは伝説だ」というのは、その時主人公が絶望と共に発した言葉だった。
こんな話ですよ。
これは以前にも映画になってるし、影響を受けたものは数知れず。
ロメロ御大の「ゾンビ」がそうだし、「猿の惑星」はマシスン自身が関わっている。
換骨奪胎したのが藤子不二雄の「流血鬼」。パロディーにしたのが筒井康隆の「最後の喫煙者」。
「流血鬼」は別だけど、いずれも絶望的なお話ですよ。


しかし、今回は伝説の意味が違うんじゃねえか?と思うんですよ。
だってウィル・スミス主演の大作映画ですけえのう。
オレが予想する話はこうです。
話の骨子は同じ。でも今回スミスの役どころは学者。なので、ヴァンパイヤウィルスを解明し特効薬を開発。
そして100年後、人類は危機を乗り越え平和に暮らしている。
特効薬を開発したスミスは、人類の中興の祖として崇め讃えられるのであった。ババーン(感動的な音楽)。
レジェンドとは恐怖伝説ではなく、英雄伝説ってことですよ。ああ、スミスさま!
原作の内容を考えればあり得ない話だけど、ホラ、なにせウィル・スミスだから。あり得る話じゃないですか。
もしこうだったら嫌だ。さすがにそこまではしない気もするが、でも悪い予感は当たるんですよ。
それに、これだと原作を踏まえれば仰天オチだけど、それ抜きだとベタベタじゃないの。


この予想が当たってるのか、見当違いなのか、確かめるためにも観にいきたいけど、タイミングが合うかどうか。
いっそ観ないまま、ウィル・スミスの自己顕示欲ギトギト映画として、オレの中でのレジェンドにしとこうか。
いや、別にウィル・スミスが嫌いで仕方ないってことはないんですけどね。