デビルイヤーは地獄耳

デビルマン」を観たのです。実写版ではなく、TVアニメの方を。
半年くらい前からチョクチョク観ていて、1クール、魔将軍ザンニンが死ぬまでを観終えたのであります。
観ようと思ったのはずいぶん前でして、実写版が公開されたころ。
当時、実写版をくさすネタとしてTVアニメ版を使っている奴を何人も見たのです。
「緑のパンツの方でもやってりゃ良かったんだよw」てな感じで。
これに物凄く違和感覚えたんですね。
TV版を観たのは20年以上前で、その時の記憶しかないが、バカにされるようなシロモノだったかぁ?と。
それからしばらくして、近所のレンタル店に全巻そろっているのを見つけて今日にいたるのです。
結果どうだったかつうと、バカにされるようなシロモノではなかったです。
「子供向け番組」な部分も多いが、幼稚なシロモノではなかった。
まあ、そう思えるのも今の年齢だからかも知れない。ガキの時ではそこまで拾えなかったであろう部分も多いですからのう。


有名な話だけど、TVと原作はまるで話が違うのです。特にデビルマンのキャラは正反対。
TV版は、悪魔が悪魔の意識を維持したまま人間界に住みつくんですからね。
それなりに人間界に馴染んだせいか、かなり丸くなってはいるけど、基本的には粗暴な性格で、まあロクなもんじゃないです。
戦う理由ってのも、彼女である牧村美樹だけのためか、小癪にも自分に挑んできた奴を叩きのめすためだったりします。
彼女以外の人間を救うこともあるけど、それは身近な人間に限られます。
一緒にすごす内にに情がうつってきたってのもあるけど、突き詰めれば、それらが死ぬと美樹が悲しむからって程度の話で、要はオマケですね。
序盤に象徴的なエピソードがあって、一夜にして3000人の人間が消えたってニュースを見る場面があります。
同席してた人間が「無事だといいけど」と言うと、デビルマンが即座に「ムリムリ」と言うのですね。
あれは同族の仕業だ、生きてるわけがないと。それどころかチョッと誉めてる感じ。「へえ、アイツやるじゃない」てな具合で。
カンケーない人間はどうでもイイんですね。ヒデえなあ。さすが悪魔であります。
以降もこんな感じで、「正義のヒーロー」とは言い難いキャラです。
正義なんざ糞くらえだけど、なんだかんだで皆のために戦う主人公ってのは他にもいます。
しかし、特にTVアニメであることを考えると、このレベルまで悪魔な奴ってのは珍しいのでは。
まあ、永井豪キャラってことですね。原作版を称えるタイプの人間なら、少なくともバカにするようなマネはできないですよ。


しかし、疑問も出てくるんですね。
デビルマンが美樹にベタ惚れなのは分かった。それも一目惚れとしか言いようがない状態。
でも、おそらく何百年も生きているであろう、しかも気性が荒く、悪魔界でも有数の猛者であるデビルマンが小便臭い小娘にここまで心動かされるものなんだろうか?
で、調べてみると、ダイナミックプロ方面の総本山ビバ!ダイナミックのTV版の解説コーナーに以下の文章がありました。

ロマンアルバム(4)デビルマン』(徳間書店 1978)において豪ちゃんが読者の質問に答える形で述べている言葉が決定打か。人間・不動明の全ては、デビルマンに乗っ取られた時に消滅しているようだが、ミキを想う心が元々明にありデビルマンへ深く影響したのだと。幾らなんでもデーモン族の勇者がそう易々と愛に目覚めるかよと。それは確かに合点がいく。デーモン族になくて、人間にあった「愛」が補完する形でデビルマンに残ったのだ。それもまた、合体後のデビルマンの感情なわけだ。
http://www.asahi-net.or.jp/~wx5h-ktb/anime/devilman/dstory2.html

これでしょうね。となると、ますます原作とは反対のキャラだ。原作は人間だけど、悪魔の心にかなり影響されているんですから。


続きもボチボチ観ていこう。