オラ東京さいくだ

『東京デッドクルージング』を読んだんです。

東京デッドクルージング このミス大賞シリーズ (『このミス』大賞シリーズ)

東京デッドクルージング このミス大賞シリーズ (『このミス』大賞シリーズ)

面白かったです。しおりを使わないまま、最後まで読んじゃいましたね。
内容については下のリンク先を読んで下さい。なにしろ作者自身のコメントですから。
http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20080805
リンク先にあるように、香港ノワールや深作映画、なにより『狂い咲きサンダーロード』風味がたっぷりなんです。
それらが混ざった結果、脳裏に浮かんだのは、漫画化するなら石川賢だったよなあ...であります。
主人公・倉田晃の顔を想像すると、実在の役者ではなく『極道兵器』の頃の石川キャラになりました。
『東京デッドクルージング』と『極道兵器』の2作には、根っこの部分で相通ずるものがあると思いますよ。
もっとも、倉田晃と『極道兵器』の岩鬼将造はかなり違うキャラなんですがね。


本筋については発売直後なんでこんくらいにして、デティールの話をするんですが、これが良くってね。
『ヒステリック・サバイバー』の時も小道具にやられたんですが、今回もイイですよ。
本作における日本の状況はチト特殊でして、経済がグダグダになり地方はスラム化。千葉なんて県そのものが廃墟。
対策として東京でオリンピックを開催しようとするが、恩恵を受けるのはごく一部で、全体的には腐敗が加速中。
一方、中国はバブルが弾けやっぱりグダグダ。民族意識向上という、要は精神論でしのごうとする体たらく。
北朝鮮はドカンと派手に崩壊ではなく、グズグズになり膿をたれ流す状態。
そんな、どこ見てもダメだこりゃな状況を、いろいろな描写で描いているんですが、一番気にいったのがこれ。
50過ぎても「少年の心」を忘れないロートル暴走族ってのが出てくるんですよ。
バイクオヤジの同好会じゃないですよ。族です。だってグループ名が「愚弄刃瑠(グローバル)」。
そいつらがたむろしてるのが、道の駅なんですよ。
そりゃそうだ、そういうのが集まるのはコンビニ前とかでなく道の駅だよな!と納得かつ爆笑しましたよ。
そんなんがいるようじゃニッポンオシマイ!サヨーナラー!と作中の日本崩壊ぶりがよく伝わってきましたね。


オレは本作を大変楽しんだんですが、伝わりました?
この作品、人がバンバン死ぬし、出てくる人間の大半が人殺しか、そうでなくても犯罪者という大変イカツイものなんですが、読後に得るのは、実はサワヤカなものなんですよ。
え、サワヤカってチョット待て。内容紹介読んだら、とてもそんな感想でるとは思えん!
そう思ったアナタ。いやホントだって。たしかにドス黒いものはあるが、陰湿さはないから。
またCIAの代行機関とか、北の特殊部隊とか、中共傘下の傭兵部隊とか、言ってみればキングギドラガイガンメカゴジラみたいなのも出てきて派手ですよ。
というわけで今夜も夜勤エイエイオーと頑張ろう。