オラ東京さいくだ
『東京デッドクルージング』を読んだんです。
東京デッドクルージング このミス大賞シリーズ (『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 深町秋生
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2008/08/07
- メディア: 単行本
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内容については下のリンク先を読んで下さい。なにしろ作者自身のコメントですから。
http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20080805
リンク先にあるように、香港ノワールや深作映画、なにより『狂い咲きサンダーロード』風味がたっぷりなんです。
それらが混ざった結果、脳裏に浮かんだのは、漫画化するなら石川賢だったよなあ...であります。
主人公・倉田晃の顔を想像すると、実在の役者ではなく『極道兵器』の頃の石川キャラになりました。
『東京デッドクルージング』と『極道兵器』の2作には、根っこの部分で相通ずるものがあると思いますよ。
もっとも、倉田晃と『極道兵器』の岩鬼将造はかなり違うキャラなんですがね。
本筋については発売直後なんでこんくらいにして、デティールの話をするんですが、これが良くってね。
『ヒステリック・サバイバー』の時も小道具にやられたんですが、今回もイイですよ。
本作における日本の状況はチト特殊でして、経済がグダグダになり地方はスラム化。千葉なんて県そのものが廃墟。
対策として東京でオリンピックを開催しようとするが、恩恵を受けるのはごく一部で、全体的には腐敗が加速中。
一方、中国はバブルが弾けやっぱりグダグダ。民族意識向上という、要は精神論でしのごうとする体たらく。
北朝鮮はドカンと派手に崩壊ではなく、グズグズになり膿をたれ流す状態。
そんな、どこ見てもダメだこりゃな状況を、いろいろな描写で描いているんですが、一番気にいったのがこれ。
50過ぎても「少年の心」を忘れないロートル暴走族ってのが出てくるんですよ。
バイクオヤジの同好会じゃないですよ。族です。だってグループ名が「愚弄刃瑠(グローバル)」。
そいつらがたむろしてるのが、道の駅なんですよ。
そりゃそうだ、そういうのが集まるのはコンビニ前とかでなく道の駅だよな!と納得かつ爆笑しましたよ。
そんなんがいるようじゃニッポンオシマイ!サヨーナラー!と作中の日本崩壊ぶりがよく伝わってきましたね。
オレは本作を大変楽しんだんですが、伝わりました?
この作品、人がバンバン死ぬし、出てくる人間の大半が人殺しか、そうでなくても犯罪者という大変イカツイものなんですが、読後に得るのは、実はサワヤカなものなんですよ。
え、サワヤカってチョット待て。内容紹介読んだら、とてもそんな感想でるとは思えん!
そう思ったアナタ。いやホントだって。たしかにドス黒いものはあるが、陰湿さはないから。
またCIAの代行機関とか、北の特殊部隊とか、中共傘下の傭兵部隊とか、言ってみればキングギドラ、ガイガン、メカゴジラみたいなのも出てきて派手ですよ。
というわけで今夜も夜勤エイエイオーと頑張ろう。